今なお語り継がれるラグビー伝説のドラマ、スクールウォーズ。

実話を元に描かれていますが、ドラマではだいぶ浮世離れしていて大胆なストーリーとなっています。例えば、少女が馬に乗って登場するシーンはお嬢様を過激に演出していました。かと思えば、涙味のビールを味わうシーン、主人公の自宅の公営団地　などは身近な親近感を与えてくれました。
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さて、物語はラグビー元日本代表の教師が高校に着任するところから始まります。主人公は滝沢賢治、ラグビー部の生徒は元日本代表がやって来ると言うことで熱烈歓迎されるだろうと期待に胸を膨らませ登校します。ところが賢治が着任する高校は地元でも評判が悪く不良が集う学校だったのです。

廊下をバイクが走り、部室にはタバコの吸い殻が散乱していました。中でもラグビー部はツッパリの生徒が多く、授業に「役満上がったでぇ」と麻雀で遅れて来るしまつ。

そんな荒れた高校を正し、生徒を信じることを貫いた奮闘こそが実話で、副題が泣き虫先生の七年戦争です。

私は高校からラグビーを始めました。1982年(昭和57年)の4月に公立普通高校に入学しました。ドラマのスクールウォーズはTBSで1984年10月から半年間放映されましたので、ラグビー部で青春していた頃のドンピシャです。

しかし、ラガーマンの愛読書、ラグビー・マガジンでは、日本代表と呼んでいたのに、ドラマでは全日本と言う言い方に違和感を感じ、主人公の賢治の熱さが判らずに、あまり熱中はしませんでしたが、ラグビー部の部室で話題になるので、なんとなく観ていた感じでした。

日本代表をジャパンと呼ぶようになったのは、暫くしてからです。

それでも、100点ゲームの相模一高戦、イソップ、川浜一の悪・大木大助　には引き付けられました。

何度か再放送をしていて、親となり、子どもが少年ラグビーを始めた頃の放映は、毎週　涙もので熱中して視聴しました。大まかなストーリーは知っていたものの、ひとつひとつの行動・会話が、心に染み込んで来ました。こんなにも熱いドラマだったのですと改めて感じました。

登場人物

	ドラマ	俳優	実話
主人公	滝沢賢治	山下真治	山口良治
ラグビー元日本代表 体育教師
高校	川浜高校		伏見工高
所在地	神奈川県川浜市		京都府京都市
初代キャプテン	森田光男	宮田恭男	小畑道弘
巨漢ロック	矢木純平	近藤哲也	大八木淳史
			同大➜神戸製鋼 日本代表
初優勝時キャプテン	平山誠	四方堂亘	平尾誠二
			同大➜神戸製鋼 日本代表
初優勝時スクラム・ハーフ	清川誠一	森勇治	高崎利明
			日体大➜教員、伏見工高ラグビー部監督、GM 京都奏和高校長(予定)
伝説のワル	大木大助	松村雄基	山本清悟
	川浜一のワル		弥栄の清悟 高校日本代表 日体大➜教員
イソップ	奥寺浩	高野浩和
ライバル校	相模一高	県内ライバル	花園高校
	城南工業大学付属高校	全国大会決勝相手	大阪工業大学高校

ストーリー

地域の不良が集まるとの悪評高い工業高校にラグビー元日本代表の教師が赴任するところから物語は始まります。

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主人公の滝沢賢治はラグビー元日本代表が学校に先生として来るとなったらラグビー部の生徒は嬉しくて大騒ぎになるだろうと期待に胸を膨らませて登校します。

しかし、窓ガラスは割られて荒れ果てた校舎、廊下をバイクが走る、地域のワル学校は想像以上でした。教室に入ると、生徒はまばら、堂々と遅刻をしてくる不良の生徒は「役満上がったでぇ」と麻雀で勝ったことを自慢します。

それでもラグビー部は歓迎してくれると部室に行きますが、煙草の吸殻が散乱。ラグビー部は学校の不良達の溜まり場だったのです。先輩はシゴキと言う名のもとに後輩をいじめ、ラグビーの練習どころではありません。

こんなはずでは無かったと失意の賢治は辞表を出しに校長と食事をします。生徒は誰にも相手にされないで悲しんでいる。と聞かされた賢治は、涙味のビールを飲み干し、翌日から校門で朝、生徒を迎えて挨拶をします。校門前の中華料理店、献身的な女子マネージャーに支えられ、生徒と向かい合う賢治の態度と「自分の子どもだったら、放っておけないでしょう」との呼びかけに、暴力を恐れて見て見ぬふりをしていた教師にも次第に同調する者が出始めます。しかし、そんな教師は不良生徒の暴力に会います。しかし、ラグビーの楽しさを熱心に教える賢治を面白く思わない番長グループは、ラグビー部の練習を邪魔をし、ラグビーボールにナイフを刺します。番長と賢治はタイマン勝負になります。酒、煙草に染まった番長のパンチ、蹴りはラグビーで鍛えた賢治には効きません。

攻め疲れた番長はラグビー元日本代表の敵ではありません。闘った後はノーサイド、賢治の自宅の風呂に一緒に入ります。一緒に一杯やって、俺もラグビーをやっていれば良かったと後悔する番長。もう賢治の邪魔をする者はいません。

登場人物がドラマチックなのも昔ならでは、親切にしてくれる中華料理店の一人息子の光男がラグビー部に入部して、先輩のシゴキにへこたれながらも、少女漫画に登場するような生い立ちの謎めいた美少女に励まされ、準主役に成長していきます。県内一の強豪校、相模一高に100点ゲームで敗れた試合では、『悔しいです』と最初に涙した部員で、熱い心の持ち主です。青春ドラマに付き物の女子マネージャーも勿論、登場します。献身的な恋する乙女、川浜一の悪・大木大助の追っかけ もチームを支えます。実話を元にしたとは言え、ぐれた経緯や出会い、関わり方が複雑に絡み合い、ドラマを盛り上げます。イソップの難病との闘い、仲間の想い、ラグビー愛、ライジング・サン。校長定年交替により学業優先となり勉強が得意ではないラグビー部の存続危機、そんなこんながあり、荒れ果てた悪名轟く不良高校のラグビー部の土壌は幾多の困難を肥やしにして耕されていきます。そして期待の新入生、優秀な素材の入部により、やがて実になっていきますが、演出は素直に見守ってはくれません。スパイク盗難事件とメンバー選出でラグビーで一番大切な仲間との信頼関係をうしなったり。賢治が川浜高校に着任して七年目、機は熟しました。泣き虫先生の七年戦争が感動の結末を迎えるのです。

山口良治

1943年(昭和18年)福井県生まれ、幼い頃に母親を亡くし、父子家庭で育ちました。良き先生に出会い自身も教師を目指します。若狭農林高等学校でラグビーを始め、日本大学に進学するが、日体大に転校し、卒業後に教員となります。岐阜県の高校教師になり、日本代表に選出されて、フランカーでゴール・キッカーを務めました。勇気溢れるタックルが持ち味で、1973年まで日本代表として活躍。

1975年(昭和50年)に京都市立伏見工業高校に着任しラグビー部の監督になり、1979年に花園初出場、翌1980年花園全国大会優勝、1992年二度目の花園全国大会優勝をし1998年に総監督となり、2003年に定年。

伏見工高

京都市立伏見工業高校は、1920年(大正9年)に設立され、ラグビー部は1959年(昭和34年)創部です。山口先生が着任したのは1975年(昭和50年)でした。

最初の年には全国大会京都代表の強豪校・花園高校と対戦し0-112で負けています。その時が伏見工高ラグビー部が産声を上げた時と言われ、教師としての指導が押し付けている一方的だった山口先生が、負けた選手(生徒)たちは心はどんなに悔しかったんだろうと言う気持ちを考えるようになったと言われています。

それから五年、1980年(昭和55年)度。平尾誠二と言う後の日本を代表するプレーヤーを中学ラグビーでの才能に惚れ込み熱心に勧誘をしたかいあり、伏見工に入学しました。3年時にはキャプテンとなり、最終学年。期は熟しました。ドラマでは多少　役者の登場する年代がズレているようです。

東大阪の花園ラグビー場で行われる全国大会には六年目の前年に初出場をしていますが、準々決勝で前年優勝で準優勝をした國學院久我山に敗退しています。

花園

京都府の花園高校と東大阪の花園ラグビー場、同じ花園で紛らわしいですね。京都府京都市の花園は第95代天皇の花園天皇(1297年～1348年)に由来しているようで、東大阪市の花園は780年頃の風水害を治めるために祀ったのが始まりとされる津原神社の周りに植えられた桜から花園と呼ばれるようになったとされています。どちらも花がきれいな園から花園と呼ばれています。

高校ラガーマン、憧れの地、聖地の花園は全国大会が行われる東大阪市の花園ラグビー場を指します。▷花園ラグビー場の記事へ

校内暴力が全盛で、体罰が当たり前の時代、生徒と先生がタイマンをすると言う、今では考えられない現実離れもしていましたが、熱血先生が身体を張って生徒に体当たりして、体当たりと言っても身体を使って暴力をふるうのではなく、あくまでも言葉で説得して行きます。体罰はありません。一方、生徒からは暴力を受けますが、ラグビーで鍛えた強靭な身体は酒やタバコの染み付いた不良たちのパンチや蹴りにはやられません。

賢治を川浜高校に誘ってくれた校長先生、家族の支え、生徒を怖がっていた先生も協力をしてくれるようになり、学校前の中華料理屋の献身的な振る舞いにも助けられて、次第に心を開いていく生徒たち。

大人が子どもを信じると言う気持ちが一貫して描かれています。

ドラマを観るには

オンデマンド、DVDで視聴出来ます。

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本ページの情報は令和2年年11月時点のものです。
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