ラグビーって、一体、何やってんの?
ラグビーの試合時間は、前半40分と後半40分の合計80分です。80分間の中で、どちらが多く得点するかを競います。
80分間走り続けると、どの位走れるのでしょうか。マラソンの42.195kmを2時間10分位(130分)で走るので、130分の80(80/130)で62%、42.195kmの62%で約26kmと言うことになります。
マラソン選手が走ったらと言う前提です。ラグビー選手は、体重が倍位ある人もいますので、そんなには走れません。
でも、マラソン選手を揃えて、ゲーム中、走り回ったらどうなるのでしょう。身体をぶつけるプレーは全て捨てたとしたら・・・。
スクラム、ライン・アウトのマイボールは獲得出来ない。ヤーボールは全て取られてトライを取られる。
トライを取られたら、マイボールのキック・オフ。キックして相手に取られて、トライ。マイボールのキック・オフ。トライ。の繰り返しで全然勝ち目が無いです。
でもラグビーのゲームって、ひたすら走っている訳では無いよね。スクラム組んだり、キックでゴール狙ったりしていて。なんて思った あなたはラグビー通。
目次
Time in play イン・プレー・タイム
ざっくり半分の時間しか走っていません。試合時間80分の半分はプレーしていない時間です。
Rugby World Cup | Time in play | % |
1991 | 24分48秒 | 31% |
1995 | 26分43秒 | 33.4% |
1999 | 30分43秒 | 38.4% |
2003 | 33分35秒 | 42% |
2007 | 35分12秒 | 44% |
2011 | 35分25秒 | 44.3% |
2015 | 34分55秒 | 43.6% |
Source World Rugby(旧IRB) Report 2015
観ていて楽しいラグビー、ボールが動くラグビーを目指しているので、プレーしている時間が長くなって来ています。
その分、プレーヤーにとっては、よりキツイ、ハードになって来ています。
プレーしていない時間とは、座ったり、水を飲んだり、休んでいる訳ではありません。では何をしているか。
プレーしていない時間は、
1) スクラムになってから、エンゲージと言うまで。
2) ボールがタッチに出て、ライン・アウトが始まるまで。
3) ペナルティになってから、プレーを選択するまで。
4) ペナルティ・ゴールを狙っている時間
5) コンバージョンを狙っている時間
6) ゴール・キックから再開するまで。
7) フリー・キックになってから、プレーをするまで。
8) タイム・オフするまでの間
う~んと思う人には、
詳しく説明します。
1) スクラムになってから、エンゲージと言うまで。
ノック・オン(ボールを前に落とす)、スロー・フォワード(ボールを前に投げる)の軽い反則があった時。密集(モール、ラック)でボールが出なかった時。
レフリーが笛を吹いて、スクラムと指示します。
各々のチームでバインド bindします。
フッカー Hookerが両手を挙げて、両プロップ Propがフッカーとバインドします。フッカーが両プロップとバインドします。
ロック Lock同士バインドして、フロント・ロー Front row(一列)にバインドします。バック・ロー Back row(三列)がバインドします。
スクラム Scrumは三段階で組みます。
クラウチ Crouch、しゃがみます。
タッチ Touch、両プロップが外側の手で相手に触れます。
エンゲージ Engage、組み合う。
レフリーが、エンゲージと言うまでです。
2) ボールがタッチに出て、ライン・アウトが始まるまで。
キックしたボールがタッチに出る。又はボールを持ったプレーヤーがタッチ・ライン Touch lineの外に出るとライン・オブ・タッチ Line of touchとなります。
ボールを意図的に投げてタッチ(の外)に出してはいけません。
タッチに出した側と反対側のチームのプレーヤーがボールを投げ入れるライン・アウト Line outでプレーが再開されます。
但しペナルティ・キック Penalty kickをタッチに出した場合は、そのまま自分達のボールでライン・アウトがプレー再開されます。
タッチに出たボールが障害物に触れていない場合は、ライン・アウトが形成される前にクイック・スローインでプレーを再開しても良いことになっています。
グラウンドによって、クイック・スローインしても良い場合、駄目な場合が決められている所もあります。
ライン・アウトが再開されるまでです。
3) ペナルティになってから、プレーを選択するまで。
オフサイド off side、ノット・リリース・ザ・ボール not release the ball、オーバー・ザ・トップ over the top、コラプシング collapsing、オブストラクション obstruction、危険なプレー などの反則があった場合は、レフリーがペナルティの笛を吹きます。反則された側のボールでプレーが再開されます。
ペナルティ・キックを与えられたチームは、ペナルティ・ゴール Penalty goal、キック(タップ・キックでも良い)、スクラムの選択が出来ます。
ペナルティ・キックの場合は、レフリーに意思表示をします。最近はタッチに蹴り出す場合もレフリーに意思表示をすることもあります。
再開するプレーを決定して、プレー再開するまでです。
4) ペナルティ・ゴールを狙っている時間
ペナルティを貰って、ゴールを狙う場合、ボールをキックする地点にセットするまでです。
反則のあった地点からタッチ・ラインに平行して自陣側のどの場所からキックしても良いです。
キック・ティーを使うキッカーが多いので、チームの控えのプレーヤーやウォーター・ボーイがキック・ティーを運んで来ます。
砂を使ってボールをセットするキッカーの場合は、砂をコップに入れて持って来ます。
5) コンバージョンを狙っている時間
トライの後のゴール・キックをコンバージョン conversionと言い、キックを蹴る地点にボールをセットするまでです。
トライした地点から、タッチ・ラインに平行した場所であれば、何処からキックしても良いです。
6) ゴール・キックから再開するまで。
ペナルティ・ゴール、コンバージョンでキックしたボールを取り、次のプレーが再開するまでです。
ゴール・キックの成功、コンバージョンの後は、相手ボールでのキック・オフ Kick offでプレーが再開されます。
ペナルティ・ゴールが失敗した時は、ボールの行方によって、色々なプレーがあります。
デッド・ボール・ライン Dead ball line、タッチ・イン・ゴール Touch in goalをボールが越えたら、相手ボールのドロップ・アウト Drop outでプレーを再開します。
ボールをインゴール又はフィールド内で取ったら、そのままプレーは再開されます。
7) フリー・キックになってから、プレーをするまで。
フェア・キャッチ Fair catch、スクラムとライン・アウトでの不正な人数や不適当な姿勢、遅延プレー、カンニング・ボール(スクラムのボール投入が真っ直ぐではない) などがあった場合は、レフリーがフリー・キック Free kickの反則として笛を吹く。
反則された側が、フリー・キック(タップ・キックでも良い)によってプレーを再開するまでです。
8) タイム・オフするまでの間
トライの確認、反則の確認のためのTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル Television match official)判定のタイム・オフをするまで。
プレーヤー、アシスタント・レフリー Assistant referee(以前はタッチ・ジャッジ Touch judgeと呼んでいた)からの申し出によって、プレーを一時中断する場合のタイム・オフをするまで。
その他
前後半80分の他に、タイム・オフしている時間(TMO判定している時間、メンバー入替えの時間、暑い時には、ウォーター・ブレイクの時間)、そしてハーフ・タイム Half time(10分以内)があります。
ハーフ・タイムは、平昌オリンピックのカーリングで話題になったモクモグ・タイムじゃないですが、ロッカーに戻り、栄養補給をするチーム、プレーヤーもいます。
私がいた社会人チームでは、ウィダーを冷やして、食べて(飲んで)いました。10秒チャージ。バナナを食べるプレーヤーもいます。
90分飲み放題でも、お酒を飲んでいる時間は、きっと半分も無いでしょうが、ラグビーはゲーム中、半分近くプレーをしています。
常に動いていて、稼働率がとても高いです。イン・プレーで無い時でも、場所を移動するのに走りますし、サインや相手の動き、戦法を確認したり ととっても忙しいのです。