ラグビーにかかわっていると、レフリーをすることがあります。ラグビーの経験はあるのだけれど、ルールを実は良く知らないと言う人もいることでしょう。私も20年以上もラグビーをプレーしていましたが、全てのルールを理解しているわけではありませんし、周りのラガーマンたちも全てのルールを理解はしていません。ましてやレフリーをするとなると結構敷居が高いです。
子供にラグビーをして欲しいと思いラグビー・スクールに入れると経験者だと知られるとコーチの誘いが来て、間もなくレフリーをやることにもなります。そんな時に困らないように、先輩レフリーから教わったことを少しでも役に立ったらと記してみました。
目次
トライは目の前で確認する
テレビで観るゲームと違って、ほとんどのラグビーのゲームにTMOはありません。※TMO(Television Match Official:ビデオ判定)トライしそうな場面になったらプレーヤーより速くインゴールに入りインゴール側からグラウンディングを確認するのが良く見れます。と言ってもプレーヤーが独走になったらさすがに追いつけません、そういう時は仕方ありません。
貸し借りは作らない
赤チームの反則を取り忘れたから、青チームの反則を一回みのがしちゃえとか、青チームにおまけを一つあげるとかは無しです。どっちに貸しがあって、どっちに借りがあるのか、借金で首が回らなくなります。と言う訳ではありませんが、プレーヤーと同じでミスがあっても引きずらずに、気持ちを切り替えて、次のプレー・判定を確実に行います。
周りの声に動じない
あなたにレフリーを任せてくれているのですから、自信を持って笛を吹いて下さい。オフサイドとか、ノックオンとかの声が聞こえても気にしないこと。プレーを一番良く見えているのは、レフリーのあなたです。ベンチの声がうるさくてカチンと来たので、その反対のチームの反則をあからさまに大目に見たこともありますが、ベンチの声でゲームの結果を決められるものではなく、むしろレフリーの反感を買います。と言う事実を思い知らせてやるくらいの大胆さを持っても良いと思います。ベンチと戦っているわけでは無いので、公平が一番です。
服装
プレーヤーと同じで、ジャージ、短パン、ストッキングが理想です。Tシャツ、ウィンド・ブレーカーを着たままと言うのは、出来れば避けたいです。
笛(ホイッスル)
ラグビーのレフリー用の笛は専用です。イングランドにあるアクメア製の笛を使います。笛を吹く人は必ず購入しましょう。たまに、普通の笛を使っている人もいますが、やっぱり、しっかりとしたいです。普通の笛よりも音が低くなっていて、高音で人を刺激するのを防ぎ、プレーヤーを興奮させないようになっている。と教わりました。イングランドのバーミンガムにあるACME社製
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笛は手で持つ
首にかけたまま、笛を吹くには、①笛を持って、②笛を吹く と言う二回の動作が必要で、笛を持っていると、①笛を吹く と言う一回の動作なので、とっさの時に速いです。頑固な私は動作が速いから大丈夫と首にかけたままレフリーをしていましたが、笛を持とうと空振りしたことがあり、ある日、紐が切れてしまい、手に持って笛を吹いたら、やっぱり素早く笛を吹けたと実感しました。手で持つようになっている笛もあります。
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プレーヤーの邪魔をしない
特に子供のゲームのレフリーをするとき、走るコースの邪魔をしないようにしましょう。ついつい密集になると近くで見たくなるものですが、いざボールが出てバックスに展開すると密集にいたプレーヤーはボールをフォローしに行きます。フォローしに行くコースに立っているととても邪魔です。ブラインド側に立っていると、オープンに展開した時の邪魔にはなりません。先輩レフリーから指摘されて気を付ける様にしました。ボールの展開を予測して早目に密集から遠のきプレーヤーの走るコースにいない様にしています。
その時の先輩の指摘の仕方がとてもためになりましたので紹介しますと、「ハッキリとした笛を吹いていてとっても良いのだけど、子供たちの走る邪魔になっちゃっています」と。良いところを褒めてくれて、修正点を適確に伝えてくれました。カチンと来ることも無く、子供たちの邪魔にならないように自分なりに考えました。
偉そうなことを書きましたが、子供のゲームとは言え、レフリーを始めたころは結構、気を遣っていました。ベンチの声が聞こえてくるし、子供とは言えルールを良く知っているプレーヤーは相手の反則をアピールしてくるしとプレッシャーを感じました。内心ドキドキしていても態度は毅然とするように心がけました。男は度胸。と自分に言い聞かせて、ハッキリとした判定をしました。因みにルール・ブックに書いてあるジェスチャー全てを覚えているわけではありませんが反則をハッキリと声には出しています。出来るのならばジェスチャーも覚えましょう。
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ノックオン・アドバンテージと言わない
ラグビーにはアドバンテージと言うルールがあります。反則があっても相手に有利になっている時はプレーを止めずに継続します。でも反則があったことを表現するのに、ノックオン・アドバンテージと言ったら、ノックオンの声に反応したプレーヤーがプレーを止めてしまったことがありました。以来アドバンテージとだけ言うようにしました。
子供のゲームでレフリーをするのには資格はいりませんが、協会主導の講習会はありますので、受講をおすすめします。大人のゲームのレフリーをするには資格が必要です。C級から始まり、国際A級まであります。C級は協会の講習会を受講すると資格が貰えます。経験と上級の講習会と実地試験によってB級、A級と昇格して行きます。
主役はプレーヤー
彼らが良いプレーをして最高のパフォーマンスが出来るようにしてあげるのがレフリーの役割だと思っています。創生期はレフリーがいなくてセルフ判定だったこともあり、フェア・プレーが原則です。レフリーがいなくてもゲームは成り立つのです。とは言えグラウンドの全てのプレーヤーがフェア・プレーを心がけてルールを熟知しているかと言うとそうでもないので、レフリーは必要です。反則を捕まえる警察官では無く、プレーヤーが伸び伸びとプレー出来るように導いてあげて引き立ててあげるオーケストラの指揮者みたいな存在でありたいです。