パス
世界で一番パスが上手なのは日本だと思います。外国に比べて身体の小さい日本人が大きな身体の外国人にラグビーで勝つには、ボールをつないで空いているスペースに走り込む。と言うのが昔から言われていることです。
整列、気を付け、前へならえ で始まる体育で育ってきた日本人にとってのラグビーのパス練習は組体操のようなもの。型を造り、繰り返し型を鍛錬することにより、型を習得して身に付けると言う具合でした。
高校の始めての練習はパス練習
二人組で向かい合って初めて触る摩訶不思議な形をした楕円球をパスします。初めて手にするラグビー・ボールは、どう持って良いか判りませんので先輩が手本を見せます。縦長に持ってボールの中央付近の両端を持ちます。
振り子のように腕をスイングして、最後に手首を返してスナップを効かせてパスします。ボールが真っ直ぐに投げられると嬉しかったです。ボールを放すタイミングと両手のスナップのタイミングがズレるとボールがきれいに飛びません。
右利きの人は身体の右側から投げる方が上手なはずですが、両側を練習します。往々にして先輩は折角の新入部員、どんなに下手くそでも褒めてくれました。
ランパス
ボールを投げる型を習得したら今度は、走りながら、パスをする練習をします。
ラグビーはボールを前に投げてはいけません。スロー・フォワードと言う反則。ボールを前に投げてはいけないのに、ボールを前に進めます。
そのためには、ボールを持っているプレーヤーが前に出ないと(走らないと)いけません。
前に走りながら、後にパスすると言う理不尽な二律背反のような行為を自然に出来るために、ランパスも繰り返し練習します。
時には、パスよりも走りに重点が置かれ、精神的な鍛練としてのランパスを経験した人も多いことでしょう。ランパス10本なんてのは日常茶飯事、1時間ひたすらランパスなんてのも聞いたことがあります。
公立普通高校の弱小ラグビー部は10本と言うのが最大の試練でした。時間を計ったことがないのでどのくらいかかったのか判りませんが、100mを20秒で走ったとして。1往復40秒、5組あるとすると200秒(40秒 * 5組)。を10往復で2,000秒 ≒ 33分。最終組が到着するのを待ってスタートする訳では無いので、2/3くらいとして20分。
地獄はたったの20分。意外に短いですね。ひたすら感が強く、時間が果てしなく長く、ゴール・ラインがもの凄く遠かった、想い出したくない暑い光景が甦ります。
そんな苦しい思いもパスが自然に出来るようになったからこその成長の証。苦しくなった極限状態でもボールを決して前には投げないと言う鉄の掟を身に染み込ませます。
誰が最初に言ったのか知りませんが、アゲイン。英国発祥のラグビーならではだと最初に耳にしたときは思いましたが、ノックオンなどのミスをしようものならば、容赦なくアゲイン。
しかもアドバンテージがあるので、ミスをしてもゴールまでプレーを続けて、やり直しです。しかも戻る時はピンチなのでダッシュとなり、一粒で二度ならず三度も楽しめるのです(周りは)。ランパス中に他の組がミスをしてアゲインをしているのを待っている時こそ楽しい思いはラグビーではなかなかありません。
軍隊式のような方法で身体に覚え込ませたパスは、バックスのライン攻撃できれいな姿を見ることが出来ます。
時代は変わるもの
ハンドリングと言う名前の練習が流行り始めて、ウォーミング・アップ時にボールを手に馴染ませるために顔や胴体、脚の周りを回したりオハジキみたいに上に投げたボールと横から来るボールを捌いたりと頭(の中)も使うようになりました。
繰り返し練習をしますが、走り回るわけではないので、体力的にはきつくありません。でも真面目にやれば、地味ですが、身に付きます。
時代と共に練習方法は変わるものです。ランパスは影を潜め、パス練習はもっぱらハンドリング、そして状況判断の要素が盛り込まれて、精神的な鍛練が無くなりつつあります。
体力と精神の強化が目的では無いランパスは、頭も使って習得します。
パスは1・2・3
①パス・キャッチ
②前を見る
③パスする
の3段階で身に付けます。
①ボールを迎いに行く
パスする味方に意思表示をしてターゲットを示します。大きな声で『パス』と呼び、ハンズ・アップをして、ここによこせと目標を示します。両手でボールを迎えに行きます。
身体ごとボールをパスする味方に向ける。外側の足を前に出してボールをキャッチすると身体全体がボールの方に向きます。
②走り出したら止まらないぜ
パスをする目的はトライをするために空いているスペースにボールを動かすこと、ボールを持っている人がトライへの最短距離に位置しています。前に相手がいなければ、そのまま走ってトライをするのが一番シンプルです。真っ直ぐ走ります。
ボールをキャッチしたら、前を向いて真っ直ぐ走りましょう。一歩でも二歩でも、1mでも10cmでも前に出た(走った)方が良いに決まっています。自分がトライをするんだと言う気持ちで前に出ます。
③愛をこめて
パスには愛を込めてと最初に教わりました。俺よりもおまえの方がトライを取れそうなので、大事な大事なボールをどうか頼むぞ。と言う想いを込めて優しくパスします。愛が無いパスはノックオンなどのミスを引き起こします。
自分の身体が大事なのでタックルが来たら逃げるようにボールを放したり、味方がタックルにガッツリ入られるタイミングでパスするホスピタル・パスは止めましょう。
パスする方の外側の足を前に出して身体全体でパスする味方の方を向きます。
ボールの飛び方、スピード、強さも大切ですが、最も必要なのはボールを託す想いです。愛情を持ってパスします。
型を習いながら、手先も楕円球に慣れましょう。
3号 | 4号 | 5号 | |
対象 | 小学生低学年 | 小学生校中学年
~高学年 |
中学生以上 |
長さ縦 | 26~
28cm |
27~
29cm |
28~
30cm |
周囲縦 | 66~
68cm |
68.5~
70.5cm |
74~
77cm |
周囲横 | 48.5~
50.5cm |
51~
53cm |
58~
62cm |
重量 | 360~
380g |
380~
400g |
410~
460g |
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子供用は当然ながら小さいです。両手で持って走るくせを付けます。1・2・3は、覚えやすいようなリズムなので、足の位置や型に固執する必要はありません。
123の次は
パスの123を身に付けたら、一連の動作を速く出来るようにします。速いパスは1でキャッチしてパスします。両手をハンズ・アップして、足は内側の足を前に出してキャッチして直ぐにパスです。