1982年(昭和56年)の高校生15歳から始めたラグビー。ルールブックに英国発祥のスポーツと書いてありました。
五ヵ国対抗戦、フランスだけ聞いたことがある国でした。授業ではイギリスのことをグレートブリテン及び北アイルランド連合王国とは習いましたが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドは聞いたことがありませんでした。むしろラグビーをやっていたおかげで知ったようなものです。
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目次
度肝を抜かれたワールドカップ
社会人になって二年目の時にワールドカップが初めて行われました。多分NHKで数試合を放送したので、会社の寮で次元の違うラグビーに驚きました。開幕戦の開催国ニュージーランド・オールブラックスとイタリアの試合。
192cmのWTB
ニュージーランド代表はジャージ、短パン、ストッキングが黒のため全部黒のオールブラックスが愛称です。192cmのウイング、ジョン・カーワン(John Kirwan)の90m独走トライに度肝を抜かれて以来オールブラックスのファンです。
決勝の相手は、フランス。シャンパン・ラグビーと呼ばれる泡の様に湧き出て来るサポートのランニング・ラグビーが得意です。
日本代表は新日鉄釜石七連覇の中心だった松尾雄治が引退し林、大八木の両ロックと平尾誠二を中心としたメンバー。華麗なバックス攻撃がありながらもボールを確保出来ないで使えないと言う状態で3連敗。
クリスチャン
ウォークライと言うハカにも魅せられたニュージーランド。ナンバー・エイトが22mラインくらいからドロップ・ゴールを決めると言うビックリもあり、全勝で初の世界チャンピオンになりました。日曜日の試合には礼拝のため出場しないと言うマイケル・ジョーンズ(Michael Jones)も話題になりました。
高校生でラグビーを始めた頃に観た映画・炎のランナーでもそんな会話があったのを想い出しました。宣教師の主人公の一人が帰り道に転がって来たボールを少年に渡しながら日曜日は休息日だよと言います。美しい景色と素敵な音楽の映画です。
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ハカ
ウォークライ(War cry)とは英語で戦いの前の雄叫び。日本でも戦いの前に大将が「ようよう我こそは〇〇国の△△の神・□□なるぞ」と自己紹介をしていたみたいです。
ハカ(Haka)はマオリ語でニュージーランドの先住民マオリの戦いの前の踊りです。ラグビーのテスト・マッチでは、フィジーがシビ(Cibi)、トンガはシピタウ(Sipi Tau)、サモアはシヴァタウ(Siva Tau)を踊ります。
ジャージを提供したカンタベリーが一躍有名になり、カンタベリーの14のレブリカ・モデルをボーナスで買いました。
実は優勝したニュージーランドよりももっと強い国があると先輩が言っていたことが数年後に実現しました。
チェンジ・オブ・ペース
第二回は1991年(平成2年)、ラグビー発祥のイングランドでの開催です。開幕戦で初代王者のニュージーランドが地元イングランドに勝利し勝ち進みます。準決勝で前回大活躍のWTBジョン・カーワンを抑え込み、グース・ステップと呼ばれたチェンジ・オブ・ペースを駆使したディビット・キャンピージ(David Campese)始め華麗なバックス攻撃でニュージーランドを破ったオーストラリア・ワラビーズが決勝で地元イングランドに勝利し二代目王者になりました。浮気者の私は速攻でオーストラリア代表のジャージを購入しました。背番号は勿論11です。
ワラビーズ
オーストラリア代表はオーストラリア大陸固有の動物ワラビーズが愛称です。小さな品種のカンガルーです。
初勝利
日本はスコットランド、アイルランドに連敗したものの念願の初勝利をジンバブエからあげました。
この年の2月に結婚をし、新婚旅行でオーストラリアに行ったのでオーストラリアを応援していました。
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隠れた王者
それまでアパルトヘイトと言う人種隔離政策をしていたことから世界から締め出された南アフリカ。世界最強のニュージーランドに唯一勝ち越していると言われていた真の王者のいよいよ登場です。
黒人初の大統領となり、アパルトヘイトを撤廃し、国際社会への復帰をアピールする場として第三回ラグビー・ワールドカップが開催されました。
開幕戦は地元南アフリカと前回王者のオーストラリア。気迫あるディフェンスで圧倒する南アフリカ・スプリングボクス。もの凄いことが起こりそうな予感がしました。夜中の放送なのに翌日、部長も視聴したらしく迫力に興奮して話しに来てくれました。優勝はどっちかだな。と言うので、ニュージーランドと合わせた三つのうちのどれかでしょうと適確な答えが言えました。
スプリングボクスはアフリカに生息するシカの一種で、南アフリカ代表の愛称です。
怪物WTB
ジョナ・ロムー(Jonah Tali Lomu、196cm、120kg)と言う怪物WTBを擁する優勝候補筆頭のニュージーランドは順調に勝ち進み、地元南アフリカは大会中に成長し、準決勝はランニング・ラグビーが得意なフランスとの対戦が大雨で1時間以上も開始が遅延されると言う地の利もあり、真の世界一の対戦となりました。
Nelson Mandela
キックオフ前に開催国の元首ネルソン・マンデラ(Nelson Rolihlahla Mandela)大統領が登場し両国を激励します。スプリングボクスのジャージを着てキャプテンのフランソワ・ピナール(Jacobus Francois Pienaar)と同じ背番号6を背負っています。ズルいなとニュージーランドを応援していた私は思いました。
とっても感動
一層、気迫のこもった南アフリカが怪物WTBロムーを徹底マークして止めます。お互いディフェンスが固くノー・トライのまま80分が過ぎ、初の延長戦に。両者譲らず1本ずつPGを決めた延長後半に劇的なドロップ・ゴールで地元開催・初出場・初優勝の快挙を南アフリカが成し遂げました。後に映画となります。家族で前売りを買って初日に行きましたが閑散としていてガッカリしましたが、もうひとつの箱根駅伝みたく、感動の裏側が判る良い映画です。
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同僚が残業時間にやって来て感激しましたと興奮して想いを伝えてくれました。
ブルームフォンテーンの惨劇
日本代表は優勝候補筆頭のニュージーランドと対戦し既に決勝トーナメントを決めていたニュージーランドの出番の無かった控え中心のメンバーが試合出場のアピールに燃え、過去最多失点と言う散々たる試合もあり三戦全敗でした。ブルームフォンテーン(Bloemfontein)の惨劇と言われています。この試合を境に日本ラグビーの人気は低迷期に入ったとも言われています。
up set
毎回、優勝候補筆頭ながら初回以降、優勝を逃しているニュージーランドが今度こそはと期待していたウェールズ大会。番狂わせがあるのがスポーツの怖いところでもあり、面白いところでもあります。準決勝のフランス戦、先に決勝を決めたオーストラリアとの対戦のためのスケジュールを発表して準備万端と言うニュージーランドがミスを連発。あれ?あれ?と言う間にフランスがトライを重ねると言う展開に誰もが悪夢を観ているようでした。三決でも南アに敗れ前回の大勝で低迷期に陥れたニュージーランドが低迷期に入ります。
力を出しきったフランスにオーストラリアが勝って初の二度目の世界王者なりました。
低迷期に入った日本代表の起爆剤として日本ラグビーの宝・平尾誠二が監督に就任しますが全敗、実力が上がって来ていたのに大会後に責任を取って辞任。
Jonny Wilkinson
オーストラリアが世界一となり、隣国ニュージーランドとの定期戦ブレディスロー・カップ(Bledisloe Cup)も勝利すると言うオーストラリアの黄金時代に自国開催。連覇に期待がかかるも、レフティーの司令塔ジョニー・ウィルキンソン(Jonny Wilkinson)の大活躍でラグビーの原産国イングランドが大躍進。終了間際の劇的な決勝ドロップ・ゴールで北半球初の王者になりました。
日本代表はフィジー、アメリカからの勝利を目指しましたが四戦全敗。
Bryan Habana
ラグビーを始めて、劇的なドロップ・ゴールですっかりイングランドのファンとなった息子。もちろん大人と同じ値段がするイングランドのジャージを買ってあげて大のお気に入りでした。そんな息子の想いを打ち砕いたのが、南アフリカ。伝統の身体的特徴を活かしたパワープレーとディフェンス力に加えて、チーターよりも速いブライアン・ハバナ(Bryan Gary Habana)と言う快速WTBが登場しました。息子も浮気性なのかハバナのファンになりました。
連敗脱出
ニュージーランド代表オールブラックスの名選手ジョン・カーワンがヘッドコーチになった日本代表は初勝利から16年、カナダ相手にノーサイド直前に追いつき、13で連敗記録を止めることが出来ました。
ALL BLACKS
初開催のワールドカップ以来、その間ずっと優所候補筆頭と言われるも遠ざかっていたニュージーランドでの開催。今度こそはと期待がかかります。常にラグビーの先端技術を開発して来たニュージーランド。司令塔のスタンド・オフに怪我が続出し実に四人目のスタンド・オフ、スティーブン・ドナルド(Stephen Donald)が決勝のグラウンドに立ちました。背が高いのでジャージの丈が短く短パンに収まらないと言うハプニングがありましたが、僅か一点差ながらも宿敵のフランスに勝利しようやく南の二強に追いつき二回目の王者になりました。
日本代表は地元ニュージーランドとの対戦にベスト・メンバーを温存すると言う首脳陣の決定があり、カナダとの最終戦は終了間際に今度は追いつかれて同点と言う結果でした。チーム内の不協和音で勝てる試合を勝てなかったと思いましたが、やっと追いつけた4年前の相手に直前まで勝っていて実力が着いたとのコメントを読みました。ものは言いよう、色々な考え方があると思いました。
ありがとうEddie
優勝経験のある国は全て二回目の王者となり、地元開催で盛り上がるイングランド、初の連覇に挑む円熟味の増したニュージーランド。そんな優勝候補の一角、南アフリカの初戦でスポーツ史上最大の番狂わせと言われた事件が起こりました。
➜ブライトンの奇跡へ
東海大、サントリーで指揮を執った日本人の奥さんを持つオーストラリア人のエディ・ジョーンズ(Eddie Jones)の厳しい練習 = ハード・ワークで徹底的に鍛えられた日本代表は過去最高の世界ランクにもなり、自信を持ってこの日に照準を合わせて来ました。
➜劇的な結果へ
朝5時から筋トレを開始し一日三回の猛練習。筋肉を付けて体幹を鍛えて、スピードを付けて、走る。判断力を共用し戦術を染み込ませる、一流選手が世界一キツイ練習を世界一早い時間から耐え抜いた結果でした。そんな劇的な結果に世界中から賞賛されました。
しかしながら世界ベスト8との連戦に連勝は難しいもの。伝統国たる試合巧者ぶりでスコットランドに敗れます。実力はまぐれで無いことは続くサモア戦、アメリカ戦の勝利で証明出来ました。
Richie McCaw
開催国が決勝トーナメントに進めないと言う史上初の汚名を作ってくれたイングランド。南アフリカは日本に初戦大金星を献上するもその後は全勝で連覇を狙うニュージーランドとの準決勝では日本戦と同じく二点差で敗退。この試合が一番の山場で激しい戦いを予期していたことはキャプテンのリッチ・マコー(Richard Hugh McCaw)始め三列が耳を保護するテーピングを頭に巻いていたことでも判ります。ゴリゴリとした戦いにも勝利し初の連覇、Back to Backを達成しました。
そして日本で今年
England
そして、エディ・ジョーンズはラグビー母国イングランドのヘッドコーチになりました。ベスト8入り出来なかった汚名返上に翌年の六ヵ国対抗で優勝し復活しています。
Ireland
六ヵ国対抗戦でイングランドと首位争いをしているアイルランドは主力が成熟し円熟期になっていて過去最高の世界ランキング二位になりました。
➜六ヵ国対抗戦を観るにはこちらから
New Zealand
そして三連覇に挑む王者ニュージーランド。前回王者からキャプテン、司令塔ダン・カーター(Daniel William Carter)、攻撃の要、突破役のセンター、ノヌー(Ma’a Allan Nonu)と巧みなつなぎ役のコンラッド・スミス(Conrad Gerard Smith)など主力が抜けましたが、次から次へと良い選手が出て来るのがラグビー王国の層の厚さ。前回の最終トライをしたボーデン・バレット(Beauden John Barrett)が新司令塔に定着し、世界最先端のラグビーは健在です。昨年二敗したことも返って気を引き締める材料になったのか、それとも実力が迫って来ているのか楽しみです。
日本代表
サンウルブズの快進撃もあり、期待のかかる日本代表。不安が無い訳ではありません。サンウルブズの方が強いんじゃないの?、ロシアにギリギリじゃん、強化合宿ばかりで試合感は大丈夫なの? 信じましょう。
ラグビー・ワールドカップ2019
日本試合日程
試合日程
試合会場
出場国
次世代を担う子供たちにラグビーの素晴らしさを間近で観て感じて欲しいです。